「自分なんて価値が無い」「生きる意味なんてない」「生きててもしょうがない」と思い、自分の価値を信じることができないことがあります。

理由は人それぞれですが、社会的にみて自分には誇れるようなものが無いと感じ、それによって無価値感を感じている人が多いのではないかと思います。

社会的にみて誇れるようなものとは、たとえば外見が良い、勉強ができる、仕事ができる、生産性が高い、お金・経済力があるといったものです。

ちなみに、社会的にみて成功している人であっても、無価値感を抱いている人は大勢います。

自分には何も誇れるものがないので自分には価値が無いと感じている人からすれば、社会的に評価されている要素(お金 、経済力、スキルなど)をたくさん身につければ、無価値感からは解放されるようにも思えますが、実際にはそれは違います。

元々、無価値感を持っている人が、自分の価値を高めようと、一生懸命沢山の社会的に評価されるようなもの(財産や社会的地位など)を身につけたとしても、自分に対する無価値感の感情は結局のところ変わりません。

実際に精神科医のもとには、社会的に成功している人が自分の不幸さを訴えて訪ねてくることは珍しくないそうです。

どのようにすれば無価値感を根本的に解消することができるのでしょうか?

今回は無価値感を解消する方法についてお話していきます。

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人間の価値はどうやって決まるのか

無価値感を感じるとはいっても、そもそも人間の価値は一体どのようにして決まるのでしょうか?

日常生活で自分には価値があると感じた場面を振り返ってみると、自分が何を拠り所として自分の価値を決めているかを理解するヒントになるかもしれません。

少し考えてみて下さい。

・・・・・

考えてみると、結構難しいですよね。

  • 学歴
  • 社会的なスキル
  • 外見
  • 地位や身分
  • お金・資産
  • 交際相手がいるかどうか?
  • 結婚しているかどうか
  • どんな家庭で育ったのか

など他にもあるとは思いますが、こういったモノをイメージしたり考えた方が多いのではないかと思います。

自分の価値の外側にあるもの

上記で挙げたもの、実はこれらは本質的に人間の価値を表すものではありません。

これらは全て、言うなれば「自分の価値の外側を覆っているもの」です。

学歴や社会的なスキル、地位や身分などこれらのものは、成長し大人になるにつれて、自分に鎧をまとうように付け足していったものです。

もし自分の価値をこういった「自分の外側を覆っているもの」により決めてしまえば、自分の価値は自分が生み出すものや身につけているもの(外見、能力、スキル、経済性、生産性など)によって決まってしまう事になるでしょう。

そうすると、何が起こるかと言うと、自分の価値は一定ではなくいつも不安定になります。

人生には上手くいくことばかりではなく、挫折や失敗は必ずありますし、時には長年勤めた仕事を解雇されたり、身に着けてきたスキルが使えなくなったり、財産を失うような出来事だって起こることがあります。

人間の価値は自分が生み出すものや身につけているもの(外見、能力、スキル、経済性、生産性など)によって決まってしまうという信念を持っていると、上手くいっている時は自信満々でいられるかもしれませんが、一旦上手くいかなくなると途端に自分は無価値だという気持ちになってしまうのです。

自分の価値を自分の外側にあると信じることは結構、危険なことでもあるのです。

人間の本質的な価値

では、本質的な人間の価値は一体どこにあるでしょうか?

それは「自分」そのものにあります。

「自分」そのものって一体どういうこと?と思われたかもしれませんが、自分でいることそれ自体に本来は価値があるという事なのです。

もしいま説明した「自分」というものが分かりにくければ、外的な要素をあまり身につけていない、小さな頃の無邪気な子供の「自分」をイメージしてもらえると分かりやすいかもしれません。

全ての人間は人として同等の価値を持っていますし、誰かによって非難されたり、社会的に成功し莫大な富を得たとしても、それが人としての価値に何ら影響を与えることはありません。

先ほど外的な要素が自分の外側を覆っているという説明をしましたが、その中心にあるのが「自分」です。

イメージを図に表すと下の中心にある赤色の部分が「自分」、その周りのグレー色の部分が外的な要素(外見、能力、スキル、経済性、生産性など)です。

自信を持っている人はこの中心にある赤色の「自分」の部分、つまり自分そのものの価値を信じているから、いつでもそこはかとない自信を持っているように見えますし、

たとえ上手くいかなかったり、失敗したとしても、それによって自分の事を「価値がない」とか、「ダメな奴だ」と蔑むような事をせず堂々としています。

つまり、自分が自分であることの価値を信じるようになれれば、無価値感に悩まされる事はなくなり、自分に自信を持って生きていくことができるようになれるのです。

 

なぜ自分の事を無価値だと感じてしまうようになるのか?

どうすれば、自分で自分の価値を信じれるようになるのかについてお話する前に、なぜ多くの人は自分の事を無価値だと感じてしまうようになるのか?について少しお話させて下さい。

本来、そのままの自分でいるだけで良いのであれば、皆が無価値感に悩まされること無く、自分に価値を感じて暮らしていてもおかしくないはずです。

人が無価値感を感じるようになる原因は大きく分けて2つあります。

1つは学校や仕事やメディアなどの影響によって、社会的に平均以上であることが価値があると思い込まされるから、もう1つは子供の頃に両親から受ける教育の影響によって、自分に価値を感じるためには「何か」が必要だと信じさせられるからです。

社会は平均以上でないと人間的に価値がないと押し付ける

現実に多くの人は、自分の価値は自分が生み出すものや身につけているもの(外見、能力、スキル、経済性、生産性など)によって決まると信じ、もし平均以下であれば人間的な価値は薄いと信じています。

私はこういった信念ができる一因として、学校に行ったり、テレビや雑誌を読んだり、会社で働くなど社会生活をおくるうちに、社会的に平均以上であることが、人間の価値そのものだと思い込まされるからだと考えています。

たとえばメディアなどでは外見的に背が高く、綺麗な女性の方が目立って取り上げられたり、学校や会社では外見が良いほうがモテたりします。また莫大な富を築いたり社会的な地位が高かったりするとその人は、凄い人としてテレビなどに取り上げられます。

(私はメディアなどがそういった情報を取り上げる事自体を批判するつもりは全くありません。)

ただ、そういった情報に常日頃触れていると、だんだんと知らず知らずのうちに、人間の価値は生み出すものや身につけているもの(外見、能力、スキル、経済性、生産性など)によって決まるという信念ができあがっていくのです。

もちろん、この考えは間違いです。もし、この考えが真実であるならば、長者番付(高額納税者のランキング)でトップクラスの人物が全員どんな悪人であろうとも、人間的な価値が優れているという事になってしまいます。

親から受け取る条件付きの愛情

もう1つ自分に無価値感を感じてしまうようになる原因として、子供の頃に両親から「条件付きの愛情」を多く受けてきたという事があります。

条件付きの愛情とは、両親から「〇〇だから」という理由付きで褒められたり、怒ったりされた経験の事です。

両親から「勉強が良くできたから」褒められ、できなければ「何でできないんだ」と叱られたり、「〇〇君はできるのに、なぜあなたはできないの?」と他人と比較され非難される

など何がしかの条件がクリアできなければ両親から認めてもらえないという経験をすると、子供は心の中で「そうか!愛情をもらうためには、そのままの自分じゃなくて、頑張って良い子にならないといけないんだ!」と思い、条件を必死にクリアしようと努めるようになります。

その結果、些細な事も許せない完璧主義になったり、周りの顔色を伺って自分を出さないようになったり、自分の欠点ばかりをクヨクヨ考えたりするような、自己批判的な自分ができるのです。

本当の愛情とは、良いところや悪いところ、長所や短所、うまくいった時や失敗した時、良い時や悪い時など、諸々を含めて認めてあげるという事です。

両親から上記のようなかたちで認めて貰えると、子供は自分自身でありのままの自分を受け入れる事ができるようになっていけるのです。

言葉にすれば「不完全だけど、これが自分なんだ!」という感じでしょうか。

ちなみに毎回、子供と接する時に両親が完全な愛情を示すことは非常に難しく、完璧な愛情を受けて育ったと言える人はほぼいません。

それと、もう一つ注意することは、無価値感は親から子へ伝わっていきやすいという特徴があります。

つまり、自分に対して無価値感を抱いている人は子育てをする時、無意識に子供に対して、条件付きの愛情を押し付けやすく、(自分を受け入れることができないように)子供をありのまま認めてあげることができない傾向にあります。

そのため、無価値感とか自信の無さは親から子へ連鎖していくのです。

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自分に価値を感じるために必要なこと

では、自分に価値を感じるためにはどうすれば良いのでしょうか?

この答えはこれまでの説明のところでほぼでていますが、「自分でありのままの(不完全な)自分を認める事ができれば」良いのです。

それでは、具体的に何をすれば良いのかについてお話します。

自己否定的な思考に気づく

まず、自分で自分を否定する思考に気がつく事からはじめましょう。

自分を責めたり批判するような思考習慣がついていると、どんなに自分に愛情を注いでも、穴の空いたコップのようにその愛情を受け止めることができず、いつまで経っても自分に価値を感じることができません。

日常生活で自分を責めたりするようなシチュエーションはどんな時でしょうか?

他人に比べて上手くできなかった時や失敗をしてしまった時は、自分に否定的になってしまう人は多いでしょう。

こんな時、あなたはどんな言葉を自分に対してかけているでしょうか?

「自分はダメな奴だ!」

「自分は何もできない!」

などのように、自分を批判する言葉をかけているとしたら、そういった思考を変えていきましょう。

多くの場合、こういった自己批判的な思考は、物事を極端に考えることで自分で自分の事を攻撃しています。

たとえば、「自分は何もできない奴だ!」と言って自分の事を決めつけるのは、冷静に考えてみるとおかしいはずです。

当たり前ですが、何もできない人なんていません。他の事であれば上手くやれる事もあるだろうし、以前に比べると進歩してきている部分だってあるかもしれません。

まずは、自分を否定してしまったら、それに気が付くこと。そして、少し立ち止まって考えるようにしてみましょう。

自分を肯定する思考を身につける

自分を否定している自分に気がつけるようになったら、一旦冷静になり、自分を肯定する習慣をつけてみましょう。

自分を否定してしまった時は、丁寧に1つ1つの出来事を落ち着いて、肯定的に捉える訓練をするのです。

率直に言って長年身についた自己否定的な考え方はやめようと思ってもすぐに変える事は難しく、このようにして少しずつ思考を変える習慣を身に着けていく事が必要になります。

期間としては2〜3週間もすれば少しずつ効果を実感することができるようになり、3ヶ月から半年程度続けると、かなり自分自身を肯定的にみることができるようになり、自分にそこはかとない価値を感じることができるようになります。

はじめは以前の自己否定的な思考が邪魔をして、自分に対して肯定的に考える事に抵抗を覚えることがあるかもしれません。

しかし、そこは思い切って自分を肯定してみて欲しいなと思います。違和感を覚えるのは初めのうちだけで、その後は慣れてきて自分を肯定する事ができるようになれるので。

 

何か新しい事にチャレンジしてみましょう

自己否定的な思考を変えるだけでも十分に自分に価値を感じることができるようになれるのですが、個人的に無価値感を克服するために効果的だなと感じている方法がもう1つあるのでお話します。

それは「新しい事にチャレンジしてみる」事です。

新しい事は自分が興味を持っていたり、好きな事であれば何でもかまいません。

なぜ新しい事にチャレンジして欲しいのかというと、大抵の場合新しい事にチャレンジすると、(はじめのうちは特に)壁にぶつかったり上手くやれなかったりすることが起こります。

上手くいかない事が多いという事は、それだけ自分を肯定的にみる訓練ができるという事です。もし、失敗して自分を否定する思考がでてきた時は、自分を変えるチャンスだと思うようにすると良いと思います。

だから、取り組む時は結果や成果を重要視するのではなく、プロセスを大切にして行うようにして下さい。

 

まとめ

個人的には、自分に価値を感じることができずに悩んでいる人はかなり多いのでないかと思っています。

しかし、本来は自分そのものに価値があり、自分の事を無価値だと感じる必要は無いのです。

この記事を通じて少しでも、そのことに気づいてもらえて、無価値感を克服してもらえたら嬉しいなと思います。

それでは、ありがとうございました。