仕事でミスを連発して、周囲の人にも沢山の迷惑をかけてしまった時には、誰でも落ち込んで気分があがらなくなってしまうことがあります。

こんな時には、

「自分はなんてダメな奴なんだ!消えてしまいたい!」と自分を責めたり、

「周りの人を裏切ってしまったし、信頼も失くしてしまった・・・」と後悔することもあるでしょう。

すぐに気持ちを切り替え、前を向くことができれば良いですが、何度も何度も失敗した出来事が頭をグルグルと巡り、苦しい気持ちを切り替えることが難しい場合があります。

こんな時どうすればスッと辛い気持ちから解放されるのでしょうか?

近年では脳科学が発達し、脳の仕組みを上手く利用することで効果的に苦しい気持ちを収める方法が分かってきました。

この方法をしっかりと身につけることができれば、嫌な気持ちにとらわれ沈み込んでしまうような状況を改善させる事ができます。

それでは、その方法についてお話ししていきます。

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仕事でのミスがどうしても忘れられない理由

なぜ仕事でのミスで落ち込んだ気持ちを、サッと切り替えることができないのでしょうか?

これは脳の働きに原因があります。

脳は海馬と扁桃体の連携プレーによって記憶する

脳の働きというと非常に難しそうなイメージがありますが、分かりやすく簡潔に説明してきますのでついてきて下さい。

記憶に関する脳の部位で重要な役割を果たすものに「側頭葉」「海馬」「扁桃体」と呼ばれる3つがあります。

「側頭葉」は記憶を保管する役割を有しています。

「海馬」は一時的な記憶を保管する機能があることが知られていますが、「海馬」にはもう1つ役割があります。

それは、ある出来事が起きた時に、それを記憶として「側頭葉」に送りこんだり、過去に「側頭葉」に送り込んだ記憶を引っ張り出したりする、門のような役割があります。

「扁桃体」は「海馬」が出し入れする記憶を増幅したり弱めたりさせる役割があります。日常的な事では「扁桃体」は活発に働きませんが、例えば生命に関わるような強烈な体験をした場合「扁桃体」は活発に働き「海馬」に働きかけて記憶を増幅させ「側頭葉」送り込むのです。

 

つまり、覚えておくべきイベントが発生すると「扁桃体」が反応し記憶を増幅、「海馬」はその記憶を「側頭葉」に送りこむのです。(逆に、どうでも良いような事は扁桃体が反応しません)そして、これが繰り返されると次第に、記憶の回路ができあがるのです。

人間はマイナスの感情を伴う出来事を記憶しやすい

どんな記憶を海馬は記憶させようとするのでしょうか?

それは、先程も述べたように「生命の危機に関する情報」を含んだ記憶です。

生命の危機を感じるような出来事を覚えておくことで、人間はそのリスクから身を護ることができるようになれるため、そういった機能があると考えられています。

生命の危機とは分かりやすく言えば、多くの人がマイナスの感情を感じるようなことです。

マイナスの感情を感じるような出来事とは、例えば失敗の経験や、恥ずかしさを感じた出来事、強烈な痛みを感じたイベントなどです。

料理中に包丁で左手の肉を切断してしまったりすれば、その記憶は強烈な体験であり、記憶すべきものとして海馬が判断し側頭葉に入れられます。

これは体の痛みだけでなく、感情の痛みに関しても同様です。信じていた同僚に裏切られてしまったり、失敗をしてお世話になっていた人に迷惑をかけたりした時には、感情的な痛みを人間は感じます。

これらの経験も(扁桃体が記憶を増幅させたうえで)記憶すべきものとして側頭葉に送られるのです。

しかも、同じ経験を何度も思い出すたびに、同様の処理が行われ記憶の回路が強化されるため、一旦記憶の回路が出来上がると嫌な感情が長期化しやすいのです。

こういった理由で、仕事でのミスといったマイナスの感情を伴う出来事は忘れようとしても、何回も思い出しやすく、記憶にも残りやすいのです。

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落ち込んでいる自分から立ち直るための方法

上記の話を踏まえて、落ち込んだ状態から回復するためにどのようにすればよいのでしょうか?

有効な方法として、前頭前野を意識的に働かせる方法があります。

ミスした出来事を整理し建設的な意見を書く

前頭前野とは、人間の理性とか思考を司る部分のことで、前頭前野を意識的に働かせる方法とは

簡単に言えば、落ち込んでいる原因となったミスした出来事を、一旦ノートなどに書いて整理し、どうすれば良いのかと建設的に考えてみるのです。

これを嫌なことを思い出すたびに繰り返す事で、次第にミスした出来事に対する嫌な気持ちが消えて、(重要なことだったと扁桃体が認識しなくなっていくので)次第に思い出すこと事態が減っていきます。

なぜ、この方法が効果的なのかと言えば、脳は階層構造になっており、上記でお話した海馬などが属する大脳辺縁系は前頭前野よりも下位に位置しています。

前頭前野が思考し始めると、嫌な記憶を作る回路(扁桃体と海馬の連携プレー)が一旦ストップし、また建設的に考えることで、ミスした出来事に対する認識が変わっていき、嫌な気持ちから解放されていくからです。

必ず抱いた感情についても書いて整理する

ミスした出来事についてノートに書くときは、出来事についての事実だけではなく、その時に自分が抱いた感情についても必ず書くようにします。

これを行うことで、より効果的に嫌な感情を解消する事ができるようになります。

具体例を挙げると、営業の仕事をしていて、ある日クライアントの依頼に対し、大量にご発注をかけてしまい膨大な損失を出してしまったとします。上司からは叱責を受け、自分に自信を無くしてしまいました。

この場合ノートには、上記の出来事を書き、なぜご発注をしてしまったのか、次回の防止策について、またその時抱いた感情と冷静になってどう考えたかを書きます。

例えば、その時抱いた感情は

「こんな単純なミスをしてしまうなんて、何て自分は馬鹿なんだ。クライアントや上司からは信頼を失ってしまったかもしれないし、本当に自分は無能だ!」

冷静になってみて、いま考えたこと

「まあミスすることだってたまにはあるし、精一杯やってベストの選択をしてきたのだから何も恥じることはない。またこの失敗で自分が無能だという事にはならない。自分の可能性は無限だ」

というように建設的な考えを書くのです。

非常にシンプルですが、こういった形で嫌なことを整理し、建設的な思考をすることを繰り返していくと、驚くほど落ち込んだ気持ちが緩和されていきます

 

落ち込んだ気持ちを切り替える思考法

仕事でミスし落ち込んでしまった気持ちを、切り替える思考法をいくつか紹介しておきますので参考にして下さい。

この中の1つでも複数でも、あなたの考えに採用することで気持ちを軽くすることができます。

未来から今の失敗をみてみる

今の失敗を5年後、10年後からみたら、果たしてあなたはこのミスを考えて、まだ苦しんでいるでしょうか?

「まあ、こんなこともあったな」などと言っているのではないでしょうか 。

悩んでいても良い気分でいても同じだけ時間は経過する

今から1時間経過するとして、苦悩しても楽しいことを考えていても平等に時間は流れていきます。

もし、どちらかを選択することができるのであれば、良い気持ちになれることを考えたほうが良いでしょう。

このミスで死んでしまうことはあるだろうか?

極端に考えすぎると、実際の深刻さ以上に深刻に物事を捉えてしまうことがあります。

そんなときは、「これによって自分が死んでしまったりすることはあるだろうか?」と考えてみるとよいでしょう。

過剰に自分だけの責任とは捉えないこと

過剰に自分の責任と捉えると、自己嫌悪に陥ってしまいます。

複数人で関わっていたのであれば、自分だけに責任を押し付けて考えることはやめましょう。

まとめ

仕事でミスした時には、単純に忘れて次の仕事に対して準備をした方が良いですが、

お話したように、落ち込んでしまってなかなか気持ちの切り替えができないことは、当然といえば当然のことなのです。

今日ご紹介した方法を実践され、落ち込んだ気持ちから解放されて気持ちよく仕事に取り組むことができるようになれば幸いです。

ありがとうございました。