日本では定期的にニュースで過労死による自殺の報道がされる。
しかも過労死で自殺するのはその大半が年齢が20代〜30代という非常に若い人たちだ。
こういったニュースをみると僕と同世代の人が過労死したことを本当に悲しく感じるし、怒りを覚える。
「なんで、まだ色んな可能性だってあるのに、死んじゃったんだ!」と。
でも、そう思う一方で過労死するまで働いてしまう気持ちも分かる。というのも僕も働き詰めで精神的に追い詰められた経験があるからです。
今回の記事では日本における若者の過労死がどれほど異常なものなのか?日本だけをみるとその異常性に気づきにくいので、日本と海外の仕事事情を比較して考えてみたいと思います。
そして過労死寸前の労働状況にいる場合どうすれば良いのか?またどうやったら1人1人が過労死を防ぐことができるのか、自分のデスマーチの経験も踏まえながらその原因と対策についても考えていきます。
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日本の若年層の自殺の割合は世界トップクラス
上記に掲載した厚生労働省の資料によると、先進7カ国を比較した若年層(15〜34歳)の死亡原因で日本は韓国と並びダントツで世界トップです。
イギリスやイタリアなどと比べると日本における若者の自殺率は4倍以上という数字です。
なぜ日本はこんなにも若者の自殺が多いのでしょうか?
その原因については別の調査がありますので、下記で詳しく解説していきます。
日本の若年層自殺の原因ランキング
20歳代の自殺原因のトップ3が「1,健康問題、2,勤務問題、3.経済・生活問題」
30代の自殺原因のトップ3が「1,健康問題、2,経済・問題、3,家庭問題、勤務問題」
健康問題がかなりのウェイトを占めていますが、この健康問題というのは一体どういうものなのでしょうか?
健康問題による自殺者とは大半が鬱病などの精神疾患によるもの
20〜30代の健康問題による自殺原因の詳しい資料がみつからなかったので、全年齢を対象にした健康問題による自殺者の原因の内訳の資料を参考にすると(上記資料は内閣府作成)
鬱病などの精神疾患が50%以上を占めているのが分かります。
なぜ鬱病など精神疾患になってしまうのか?
鬱病の原因は複雑で、様々な要因が重なって起きるので一概には言えませんが、
ある調査で鬱病になった500人に原因をアンケート調査したところ、原因のトップは仕事の人間関係や仕事の重荷・不満などで、半数以上の人が仕事を鬱病になった一因だと考えているそうです。
つまり仕事を原因に鬱病になってしまう人は非常に多いんです。
自殺の原因は「仕事」に起因するものが大半と推測できる
上記のことを簡単に表すと
「仕事で苦しくなる→鬱病になる→自殺してしまう」
こういった形で自殺してしまう人が多いという事です。
そう考えると20〜30代の自殺を引き起こしている原因の50%程度は仕事によるものだと推測できます。
でも、なぜ日本の若年層は病むまで仕事を続けてしまうのでしょうか?
本来、生きるためには働いているのであって、働くために生きているわけではないはずです。
次はその原因を明らかにしていきます。
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日本の若者が過労死する7つの原因
僕は過去、最も仕事で残業を経験した新入社員のとき、3ヶ月間連続で残業100時間以上働いたことがあります。
当時営業をしていましたが、この時期はいつも何故か気分があがらず、ゾンビのように働いていたのを思い出します。
もちろん自分の目標としている事の途中に、今の仕事があって充実感を感じながら働いているのであれば、長時間働く事は苦痛ではなくなるでしょう。
しかしそうではなくて、あまりやりがいを感じているわけでもなく、ただ残業が100時間以上あるというのであれば、遅かれ早かれ病んでしまいます。
かなり辛い時は「仕事をやめてやる!」とも思いましたが、その一方で「でも諸々の事情があってそんな簡単にやめれない・・・」とも感じボロボロになるまで働いていました。
今考えると一歩間違えばどこかで心身のバランスを崩していたかもしれませんね・・・
この時の経験から、日本の若者はなぜ過労死してしまうのか?について僕が実際に感じた7つの原因を説明していきます。
日本の若者は仕事を辞めたら、もうほかに選択肢はないと感じている
日本の若者が過労死するまで働いてしまう一番大きな要因として、
「今の仕事をやめてしまったら、もう他の仕事にはつけないのではないか?」
「一旦やめてしまったら落ちぶれてしまう、生きていけないのではないか?」
などやめてしまったらもう可能性はなくなってしまうかも知れないという恐怖感があります。
こういった一度仕事を辞めてしまったらダメになってしまうかもしれないという情報は、ニュースやインターネットなどのメディアで度々目にするので、次第に意識に刷り込まれていきます。
そして次第に「仕事を辞めても他の選択肢は無いんだ」と思うようになると思うのです。
実際、僕も辛くて仕事から抜け出してしまいたいと思った時、「いや、やめたらこのご時世で、もう就職なんてできないかも知れない、だから今この状況をやるきるしかないんだ!」と言い聞かせて乗り切ったのを思い出します。
しかし、ある仕事を辞めただけでもう生きていけなくなる、そんなわけがありません。
仕事さえ選ばなければ仕事だって沢山あります。
最悪無いなら生活保護だって受けれますし。過労死するくらいなら生活保護を受け可能性を模索しても全然いいのです。
家族や上司、同僚から責められたり悪くいわれると考えてしまう
日本は集団主義が強く文化的に、日本人は過剰に周囲の人の目を気にする特徴があります。
だから何か行動を起こす時も周囲を慎重に気にしつつ行動する癖がついています。
だから仕事を辞めようとすると自動的に頭の中で、
「仕事をやめたら両親から批判されるかもしれない」
「上司や同僚から責められないだろうか」
「なぜせっかく掴んだ仕事を辞めてしまうんだ」
と考えはじめます。
本来、仕事を辞めるか辞めないかというのは個人の自由です。
しかし、周囲の目を気にする余り精神的に身動きが取れなくなってしまうのです。
忙しい上に重要な案件や人を抱えているので辞めにくい
若い人に沢山の案件や重要な役割を任せる会社は沢山あります。
僕の部署も少数精鋭でやっていたので、入社して半年後には西日本の大半の地域を任せられるようになりました。
「ただでさえ凄く忙しいのに、自分が抜けるということは、抜けた穴を誰かが補填しなければならない。残された人は大変だろうし、そんな不義理は働けないな。」
「しかも沢山案件を抱えているだけでなく、取引先も自分を信頼して取引してくれている。」
こんなふうに仕事をやめようと思った時考えました。
仕事をするということは責任も負うということなので、もちろんこれは仕方のない部分でもあります。
しかし、例え重要な案件を抱えているとか取引先と繋がりがあっても、過労死するほどなら辞めるのを選択するべきなんです。
この仕事を辞めたら他の仕事では役に立たないのではないかという不安
日本の若い人は自己肯定感(自信)が低いという調査結果があるのをご存知ですか?
これは2016年に発表された子供・若者白書という調査で明らかにされたもので、日本の若者は自己肯定感が著しく低く、45.8%の若者が自信が無いと回答しています。
ちなみにアメリカは86.0%の若者が自信があると回答しているのです。
自己肯定感が低いのと仕事をやめれないのとどういった関係があるのかというと、自分に自信が持てないと、
「自分は役に立たないとか」「自分はできないのではないか」
と考えてしまい、身動きが取れなくなってしまうのです。
実際そんなことは無いのですが、日本にいると子供の頃から批判されるような環境の中で育つので、無意識のうちに自分を否定するような癖がついてしまっているのです。
仕事を辞めたらレールから外れてしまうのではないかという不安
以前の僕は人生には成功のレールがあると思っていました。
具体的に言うなら、ある程度優秀な大学に入って、安定した大企業に就職して、家族を持って、辛いながらも仕事に打ち込み、年に数回家族旅行に行って・・・
みたいな感じです。
それで、実際上場企業に就職したんですが、仕事を辞める時上記の固定観念が頭を悩ませました。
「ここで辞めたら成功のレールから外れることになるぞ、いいのか?」
こういった刷り込みは小さい頃から両親やメディアによって作られたものだと思います。
しかし、辞めてレールから外れてみて思いました。それは思い込みでしか無かったと。
誰にも当てはまる唯一無二の成功のレールなんて無いんです。
自分にあう道を自分で開拓していけばそれが成功になっていくんだと分かりました。
過労により思考力が著しく落ちてしまうこと
なぜ過労死してしまうまで働いてしまうのか?
これは過労が重責したことによって、段々と思考力が低下していったことも一因にあると僕は思います。
僕が残業100時間以上を3ヶ月続けた時のことをお話しします。
朝は6時過ぎには起床して地下鉄に乗ります。そこから厳しい上司とほぼ常に一緒の状態で深夜0時過ぎまで働き、そこから帰宅 もしくは 次の出張先まで車で移動します。
帰宅もしくはホテルにつくのが1時過ぎになるので睡眠時間は3〜4時間程度で、これが3週間近く続きました。(稀に土日仕事もありました)
こういう生活を続けるとどうなるかというと、数日過ぎたあたりから、披露が蓄積して体と心が重くなり、睡眠不足もあるので朝目覚めてもどこかボーっとした状態になります。
そして1週間から10日位すると起きているのに夢の中にいるようなボーっとした状態が続くようになり、何かプライベートの事を考えたり思考するのが面倒くさくなり、嬉しいとか悲しいとか感じるのが鈍くなりました。
(今振り返ると異常なんですが、当時は辛いけどなんとか頑張ろうと思っていました。 苦笑)
つまり、過労が続くと人間は思考力が落ち、考えることができなくなってくるのです。
これまでの学歴・経歴が全て意味をなさなくなるという恐怖
「仕事を辞めてしまったらこれまでの経歴がダメになってしまう」
「ここで辞めたら履歴書に傷がつく、傷がつかないよう3年はとりあえず頑張ろう」
自分の学歴や自分の経歴にプライドを持ってしまっていると、どんなに環境が悪かろうかとやめれなくなってしまう部分があります。
入社してすぐ辞めてしまったというと、聞こえが悪い。だからどんな辛くてもあと3年は頑張ろう。こんなふうに考えている人は意外と多いのです。
過労死しないために具体的な7つの対策
ここまで過労死を引き起こす原因をみてきました。
ここからは個人が過労死から身を守るための対策を示していきたいと思います。
もし今過労死しそうだと感じているならスグ逃げろ
まず今あなたが過労死しそうだと感じているのなら、今スグ逃げることです。
それしかありません。
過労死しそうなほど働いているということは、自分の自由時間は非常に少ないはずです。
また過労死するほどの状態であれば、思考力は段々と落ちてきて考える事が面倒くさくなってきます。そして疲労から休みの日は寝るばかりで、他の事をやろうという気なんて全く起きなくなるのです。
またこういった無理な労働を続けていると、感情を抑圧して過ごすようになり次第に自分の感情が分からなくなってくるのです。
心から楽しい、嬉しい、悲しいなど人間的な感情が消え失せていってしまうのです。
ただ自分の感情を押し殺して仕事をやりにゾンビのように会社に行って働いているだけ・・・こんな状態で自分の事を深く考えることはできません。
そんな中で何か仕事を抜け出すための取り組みをしようと思っても難しいです。
もし長期休暇を取れるのであればそれも良い方法です。しばらく休むことによって自分の感情が戻ってきて、余裕を持って自分について考えることができるようになってきます。
過労が重なればどんどん思考力は落ちていき、感情も鈍くなり、さらに悪くなれば精神疾患や自殺に陥ってしまいます。
だからとにかく理由は何でも良いので、過労死しそうならどんな事情があるにせよ、今その職場から逃げて下さい。
世間体を気にせず生きていくこと
先に過労死を引き起こす原因でみてきた、すぐ辞めたら周囲の人からどう言われるかとか、学歴や経歴が傷つくとか、これらは全て世間体を気にしているからこそ感じる気持ちです。
だから自分の気持ちに素直になって世間体を気にせず自分の気持ちを大事に生きていくことが重要です。
しかし、これまで世間体を気にして生きてきた人がいきなり世間体を気にせず生きるのは難しいと思いますか?
これはちょっとしたコツと慣れが必要で、もし世間体を気にしそうになったら自分に「私は自分の好きなように世間体を気にせず生きる」と語りかけて下さい。
これを繰り返し慣れていくと、不思議なことに、次第に世間体を気にせず行動できるようになれます。
副業など自分の仕事を作っておく
「仕事をやめたら生活できなくなってしまうかも」、と経済的な不安から仕事をやめれないと感じることも往々にしてあります。
その経済的な不安を消すために自分だけの副業を持っておくと良いです。
会社や国はあなたを守ってくれません。だから副業が禁止されていても自分の身を守るために自分の副業を持っておくことをオススメします。
他の可能性を模索すること
仕事をやめてしまった時のために第2の自分の可能性を模索しておくことは重要です。
セーフティネットというか、もし今の仕事がだめになっても次の一手があると思えれば、仕事で死にそうになったら辞めることができるはずです。
自分に自信を持つトレーニングをすること
今の仕事を辞めても、他の仕事ではうまくいかないんじゃないか?転職しても状況は悪くなるしかない。
これらは全て自己肯定感が低いことに原因があります。
自分に自信がある人はこういった考え方はしません。
「自分には価値がある。だから次の仕事でもきっとうまくいく」
「仕事を辞めて別の仕事をして楽しく生きよう」
こんなふうに自己肯定感の高い人は考えます。
どうやったら自分に自信が持てるのか。これは非常に奥が深いテーマですが、自分に自信を持つ基本的で効果が高い方法として、自分に語りかける言葉を肯定的なものに変える。という方法があります。
自己肯定感が低い人は自分に対して否定的な言葉ばかりかけています。これではいつまで経っても自分に自信を持つことはできません。
ですから、もし自分を否定するような言葉を自分にかけたくなったら、それをポジティブな言葉に変えて自分に語りかけるように訓練するんです。
そうしていくうちに次第に自己肯定感が高まっていきます。
会社が何かしてくれると思わない、会社に頼らないこと
基本的に会社で働くということは、不自由なことです。
会社から仕事を与えられればよっぽどの理由がない限りそれらをこなすことが必要になります。
つまり、会社に雇われるということはある程度、境遇を会社にコントロールされるということです。
だからこそ、一方では会社に頼らずに自立して生きていく方向を模索しておいて欲しいのです。
境遇を会社にコントロールされるということは、何十年も働いていれば非常に辛い、耐え難いような境遇におかれることもあるかもしれません。
そんな時、自分で自立して生きていく何かがあれば逃げ出すことができるのです。
成功のレールは1つではないということ
人生には成功のための唯一のレールのようなものがあると思っている人がいますが、そんなものはありません。
人それぞれ成功の形は様々で、成功にたどり着く道も1つだけではなく、ルートも無限にあります。
だから例え今仕事を辞めても、結果的に自分が思い描く成功にたどり着くことができれば良いわけです。
そういうふうに考えると仕事をやめることも、成功への1歩とみることができるかもしれません。
まとめ
日本の若者の過労死をテーマに書いてきましたがいかがでしたか?
まだ可能性のある人が過労死、仕事によって病んで死んでしまう。本当凄く悲しいことだと思います。
書いていて感じたのは、日本は若者に対して、大学→企業へ就職というステレオタイプの価値観だけではなく、沢山の選択肢をみせるような教育や啓発がされるべきだということです。
就職してもし合わなければ、柔軟に仕事を変えることができ、社会的にもそういったことが受容されていて当たり前になっている。
そんな世の中であれば過労死は確実に減るだろうと思います。
僕も過労死する人を減らすために何か一助になることをこれからしていきたいと考えています。
それではありがとうございました。