ご家族(夫や息子)の中にギャンブル依存症の方がおられるのであれば率直に言って非常に危険です。
何故ならギャンブル依存症は自分のみならず、その周りにいる人の人生までも不幸にする可能性があるからです。
実を言うと私も昔はギャンブル依存に悩んでいた人間です。ギャンブル依存症の人は本当にどうしようも無い人と言ってよく、平気でウソをついたり家族のお金を平気でくすねたりするような側面を持っています。
そんな僕ですが今はギャンブル依存から抜け出し穏やかな生活を過ごす事ができています。
今回はそういった経験からギャンブル依存症の家族がいる場合、周りのご家族は具体的にどのように対処するのが良いのか?ということについてお話ししていきます。
ギャンブル依存症は本人ではなく、周りの人の方が苦しかったり悩みも深くなる場合も往々にしてあります。この記事を読み実行することで、少しでも改善の方向に向かっていくことができると思います。
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ギャンブル依存症の特徴を知ろう
まずご家族の方には具体的な手段を行う前に、ギャンブル依存症について簡単にでも知っておいた方が良いです。
というのもギャンブル依存症の人の考え方は、普通の人の考え方とは全く異なっていて、恐らく理解しがたいような考え方の状態になっている部分があるからです。
以下で説明していきます。
ギャンブル依存症は否定の病気とも言われる
まずギャンブル依存症の人は自分をギャンブル依存症だとは認めません。
お金を何百万円ギャンブルに使っている、ギャンブルで数十万、数百万円の借金がある、ギャンブルをするために家族を犠牲にしている。はたから見れば異常な状態であるのにも関わらず、当の本人は自分の事をギャンブル依存症だとはなぜか認めないのです。
これがギャンブル依存症の特徴です。
ギャンブル依存症は別名「否認の病気」とも言われています。もし本人が否定するのであればギャンブル依存に陥っていると思っていいでしょう。
本人の意思があれば止められるものではない
2つ目ですが、ギャンブル依存でよく周囲の人に勘違いされていることとして、「本人の意思によってギャンブルはやめられる」という事です。
つまりギャンブルがやめられないのは本人の意思が弱い・足りないからだと思われてしまっているということです。
いくら本人の意思が弱さ等を指摘したところで、これは見当外れです。
なぜなら一旦ギャンブル依存症になってしまうとギャンブルに行きたくないとどんなに思っていても、意思云々関係なくギャンブルに向かってしまうのです。
ギャンブルをやめたいと望む人達のための自助組織GA(ギャンブラーズ・アノニマス)にはギャンブルをやめたいと心底望む人達が大勢集まっていますが、そこにいる多くの人は強くやめたいと思うその一方で、ギャンブルがしたい・行きたいと無性に感じてしまっているのです。
例えるなら麻薬などと一緒で、一度快楽の回路ができてしまうと、身体が求めるようになってしまい、意志の力で防ぐことが非常に難しくなってしまうのです。
もちろん、だからといって回復できないのか、というとそうではありません。甘くはありませんが、回復することは可能です。(後ほど詳しく)
頭の中はギャンブルをすることが最優先になっている
ギャンブル依存症の人の頭の中は「ギャンブルをしたい」というたった1つの事で占領されています。
これは普通の人には理解できないかもしれません。
しかし、これは事実です。何をしているときでもギャンブルをしたいと考え、ギャンブルをするためにどうすれば良いかということを無意識に考えているのです。
そしてギャンブルをする以外のほとんどの事は「どうでもいいこと」、「とにかくギャンブルができればそれで良い」と考えている側面があるのです。
だからお金があればあるだけ使い、無ければ借金などをするようになります。
ありとあらゆる手段でお金を家族に隠れ盗ろうとする
ギャンブル依存の人の頭の中はギャンブルをすることで最優先になっていると言いました。
とにかくギャンブルが無性にしたいので、手持ちのお金が無くなってしまうと、どうにかしてお金を得ようと考えはじめます。
普通の人では考えないような借金や家族の口座からお金を引き出したりといったことも平気で行います。しかも家族に分からないように内密に隠れて行おうとします。
そのためギャンブル依存症だと家族が気づかず、気づいた時には大きな借金を本人が抱えていたり、家族のお金が知らぬ間に使われていたりすることが多々あるのです。
平気でウソをつく
ギャンブル依存症の人はギャンブルをするために平気で人にウソをつきます。
以前はそんな人では無かったという人も一度ギャンブル依存に陥れば平気でウソをつくようになってしまうのです。そうです、ギャンブル依存は人格まで変えてしまう恐ろしさがあるのです。
だからギャンブル依存の人の安易な言葉を絶対に信じてはいけません。慎重になって下さい。本当かどうかを疑って下さい。
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家族がやるべき7つのこと
それではギャンブル依存症の特徴が分かった所で、次に家族ができることについてお話ししていきます。
絶対にやってはいけないことについても併せて解説をしていきますので、参考にして実行していって下さい。
はじめに本人に確認して欲しいこと
まずギャンブル依存症だと家族が分かれば本人に確認してほしい大切なことが3つあります。
- 自分にギャンブル依存の自覚があるか否か?
- やめたいという明確な意思があるか?
- 借金の有無、金額について確認しておく
上記の3つを本人に確認してみてください。
先程ギャンブル依存症は「否認の病気」ということをお話ししたので、ちょっとややこしくなりますが、本人が自分の事をギャンブル依存であると自覚しない限り、回復に向かっていくことはありません。
本人が認めること・自覚すること、これが回復へのスタート地点です。多くの人はここすらもクリアできないので、もしクリアできれば大きな一歩と言えます。
次に本人に「ギャンブルをやめる強い意思」があるかを確認して欲しいのです。
これも上記で「ギャンブルは意思があればやめられるものではない」と言いましたが、それでも本人に「やめる強い意思」は必要不可欠なのです。
本人とご家族はギャンブルをやめるための様々な取り組みをこれからしていくと思います。どんなに最高・裁量の措置を講じた所でやはりギャンブルの誘惑というのはふとした瞬間に襲ってくるものなのです。
そんな時本人に「やめる意思」が無ければスグにまた元のギャンブル生活に戻ってしまうでしょう。
借金の有無についても必ず確認しておいて下さい。隠れて多額の借金があるケースも少なくありません。
本人がギャンブルに対して無力であると認める
次のステップとして本人がギャンブルに対して無力であると認めることです。
ギャンブルは自分のコントロール外のことであり、自分でやめることができないと認めるのです。
海外のアルコール依存症の自助組織であるAA(アルコホーリクス・アノニマス)で生み出された回復の指針となる「12のステップ」と呼ばれるものが大変参考になるのでご紹介します。
12のステップ
これら「12のステップ」は、AAメンバーと同じく、依存症者の家族や友人にとっても、生き方となりうる。
1.私達はアルコールに対して無力であり、生きていくことがどうにもならなくなったことを認めた。
2.私達は自分より偉大な力が、私達を正気に戻してくれると信じるようになった。
3.私達の意志と生命の方向を変え、自分で理解している神、ハイヤーパワーの配慮の下に置く決心をした。
4.探し求め、恐れることなく、生きてきたことの棚卸表を作った。
5.神に対し、自分自身に対し、いま一人の人間に対し、自分の誤りの正確な本質を認めた。
6.これらの性格上の欠点をすべて取り除くことを、神にゆだねる心の準備が完全にできた。
7.自分の短所を変えて下さい、と謙虚に神に求めた。
8.私達が傷つけたすべての人の表を作り、そのすべての人達に埋め合わせをする気持ちになった。
9.その人達、または他の人々を傷つけない限り、機会あるたびに直接埋め合わせをした。
10.自分の生き方の棚卸を実行し続け、誤った時はただちに認めた。
11.自分で理解している神との意識的触れ合いを深めるために、神の意志を知り、それだけを行っていく力を祈りと黙想によって求めた。
12.これらのステップを経た結果、霊的に目覚め、この話を他の人達に伝え、また自分のあらゆることに、この原理を実践するように努力した。
海外のものなので日本人にとっては宗教色が強く感じるかもしれませんが、書かれていることは非常に参考になるものです。依存症の方には是非一読して欲しいと思います。
お金は最低限のみ渡し、それ以上の金額一切渡さない
ギャンブル依存症の人は物理的に行かせないよう、お金の供給を断つことが最重要です。これからその方法についてお話しします。大切なのでしっかりと聞いて下さい。
まずお金は3000〜5000円程度しか持たせないようにしましょう。これくらいの金額があれば大抵の事はまかなえます。
そしてどんな理由があれこれ以上の金額は一切渡さないようにします。
飲み会がある、付き合いがあって・・・などの理由でも渡しません。何故ならウソを言っている可能性があるからです。
ギャンブル依存症の人の言葉は信じてはだめです。もし飲み会があっても断ってもらうより他ありません。
それよりもギャンブル依存症から回復することの方がよっぽど重要なことです。
カード類は全て没取する
お金を引き出すことのできるカードは全て没収しましょう。
お金を引き出すカードを持っているとほぼ確実にお金を引き出して使い始めます。
ですから全て断つようにするのです。
借金はしていないか確認する
定期的に借金をしていないかを確認するようにしましょう。
隠れて借金をしていても、ご家族は借金で送られてくるハガキ等を発見しない限り、借金の有無については分かりません。
だから本人に確認するようにして下さい。
持っているお金は全て隠す
持っている通帳・現金などは隠して分からないようにしておきましょう。
お金があれば知らぬ間に盗ってギャンブルに使ってしまう可能性があります。ですから全てのお金は隠すようにしておいて下さい。
GA(ギャンブラーズ・アノニマス)、ギャマノンに行く
ギャンブル依存患者のための自助グループに通うというのも良いです。自助グループの会合は全国で定期的に開催されているので足を運んでみると良いでしょう。
自助グループには大きく分けて2つあり、患者本人のためのGA(ギャブラーズ・アノニマス)、患者家族友人のためのギャマノンです。
1人で悩んでいると辛いものですし、同志がいるというのは非常に力になるものです。
離れる事もあなたの人生を守るための大切な選択
様々な処置を試したり、どうしてもやめれず周りに致命的な迷惑をかけている状態が続くのであれば、離れる事も遠慮せず選択肢に入れて下さい。
中途半端に足を突っ込んでいると自分も溺れて沈んでいってしまう危険性があります。
ですからもう無理だと思えば、すっぱりと非情になって切り離して下さい。辛くてもそうして下さい。
それがあなたや家族を守ることにも繋がります。
ギャンブル患者の具体的な回復までのイメージ
どのようにしてギャンブル患者が回復していくのかイメージを持っておくと手助けになりますので、僕の経験からどのような経過を辿り回復していくのかについてざっくりとですがお話しします。
- 本人がギャンブル依存で危険な状態であることを自覚します。そして自分ではどうにもできない、やめたくてもやめられないと認めます。少しでもお金があるとギャンブルに行ってしまうので、お金は必要最低限のみ持つようにします。
- 最初の数日〜数週間は無性にギャンブルに行きたい強い衝動に駆られ葛藤します
- 数ヶ月経つとギャンブルへの衝動が和らいで来ます。(まだ行きたくはなる)
- 半年〜1年強いギャンブル衝動が来ることはなくなるが、やはりギャンブル衝動は残っている状態
- 1〜3年程度 ギャンブルに行きたい衝動がほとんどなくなる
これが簡単な回復までの流れです。文章で書くと簡単に思えますが、ハッキリ言って甘くありません。最初の数週間のギャンブルへの衝動をやり過ごすのはかなりキツイです。
そんな時僕のオススメは「寝ること」です。ギャンブルに行きたくなったら寝てやり過ごす。本当に有効です。是非やってみて欲しいです。
まとめ
ギャンブル依存症の家族の方は今日書いたアドバイスを参考にして実践してみて欲しいと思います。
最重要なのは本人の自覚とお金の供給を断つということです。これを徹底するだけでもかなり戦えると思います。
ギャンブル依存症からの回復は本当に闘いです。頑張りましょう。