僕は子供の頃からストリートファイターシリーズが好きで、大人になった今でもストリートファイターの最新作ストリートファイター5を遊んでいます。(ちなみにガイル使ってます)

RPGはラスボスを倒せばエンディグですが、格闘ゲームは奥が深くどこまでいっても終わりがありません。格闘ゲームを極めようと思えば数千時間、下手をすると数万時間という膨大な時間が必要です。

格闘ゲームの世界にはプロゲーマーと呼ばれるゲーム1本で飯を食っている人達がいます。現在、日本にはストリートファイター5のプロゲーマーは約20〜30名程度います。

中でも知名度が他のプレーヤーに比べ突出しているのが「ウメハラ」「ときど」と呼ばれる2名のプレーヤーです。どちらも人気・知名度共にずば抜けていて、テレビへの出演や雑誌で取り上げられる事も非常に多いです。

ウメハラさんは日本初のプロゲーマーで、これまで日本の格闘ゲーム界の先頭を走り、道を作ってきた言わばレジェンドプレーヤー、10年以上もの間世界クラスの大会でトップの成績をおさめて来ました。

一方ときどさんは東大出身の頭脳プレーヤーで、格闘ゲームでウメハラさん同様結果を残してきましたが、周囲からはあと1歩ウメハラさんに及ばないといわれてきました。しかし近年の大会の実績ではときどさんがウメハラさんを凌駕してきており、格ゲーファンはどちらが本当に強いのか非常に興味があるところでした。

そして数日前にその2名がガチンコで勝負するという獣道2という企画がありました。結果から言えばその試合はウメハラさんの勝利に終わりました。試合後ときどさんは涙をボロボロと流してうなだれていました。

ときどさんの涙を見た時、思わず僕も涙がでそうになりました。

ときどさんの涙からは満を持して「ウメハラを越える」ために真摯に格闘ゲームに向かい対策を練りに練ってきたこと、そしてその自分の取り組みが功を成さず、ウメハラにとどかなかった・・・という思いがひしひしと伝わってきたからです。

今回の記事では、なぜこの対戦が特別な試合だったのか、そしてときどさんが涙したのか理由について詳しく解説していこうと思います。

僕はこの試合をみて暫くは何も手に付かない気持ちになってしまうほど、感じるものがありました。

獣道2の試合の他ウメハラさん、ときどさんによる試合前や試合後の解説動画もいれておきますので是非見てみて欲しいと思います。

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ストリートファイターシリーズ長年の因縁

まず、なぜこの獣道2での対戦が特別だったのかというと、それはストリートファイター4時代に遡ります。

ストリートファイター4の時ウメハラさんは世界一のプレーヤーとして格闘ゲームファンからは認知されており、恐らく実力・名声ともに正にその通りでした。

ときどさんは自らもプロゲーマーとなり実績を挙げながらも、結果的にはウメハラさんの後ろを追いかける形となっていました。ストリートファイター4が稼働してから終焉を迎えるまでの数年間の間ウメハラさんを追いかける状況が続きました。

そして、ストリートファイター4が終わりストリートファイターの新しいナンバーリングタイトル、ストリートファイター5が発売されます。するとときどさんはこれまでの鬱憤を晴らすかのように精力的に取り組み稼働初期から大きな大会で優勝し実績をあげるようになります。逆にウメハラさんはストリートファイター4の勢いは衰え、大きな大会での優勝が無くなっていきました。

 

ときどにとってウメハラとは

ときどさんは勢いそのままに2017年のEVOという、ストリートファイター5では最も大きな世界大会の1つで優勝を成し遂げました。日本でときどさんが1番実績をあげているのは間違いない事実であり、ウメハラさんを凌ぐ実績を挙げていましたが、ときどさんは悩んでいました。

なぜかと言えば、周りの評価は「ウメハラとときどが闘えば、ウメハラさんの方が強い」という評価の方がまだ圧倒的だったからです。

実績で上回っているのに周囲からは強さを認められない・・・という葛藤。

だからこそ、ときどさんにとってウメハラさんはラスボスのようなもので、倒さない限り本当の意味でゲームをクリアする事はできない存在だったのです。

ときどさんはガチンコでウメハラさんを倒すことで、周囲に俺の方が強いと認めさせることができ、ストリートファイター5で1番強いのは実績・実力共に自分なんだと言うことができると感じていたのです。

ストリートファイターにはEVOやカプコンカップなど賞金額数千万円の大きな世界大会がありますが、この試合にかける意気込みは恐らくそれ以上のものを抱いて、自分の全てを賭ける気持ちで臨んでいました。

 

ウメハラにとっての獣道2の意味

ウメハラさんにとってこの対戦は勿論強いときどを倒すという意味もありますが、1番大きいのはプロゲーマーとしてこれまで積み上げてきた看板・実績・名声これら全てを失ってしまうかどうかを賭けていたのです。

これでときどさんが勝てば名声・実績全てを手に入れるでしょう。ウメハラさんが負ければ最強プレーヤーではなく、旧最強プレーヤー、過去の人、前は強かった人というふうになってしまうのです。

まさに人生を賭けていたと言っても過言ではないでしょう。

 

獣道2というガチンコ対決

もちろんこれまで大会で「ウメハラVSときど」という組み合わせはありました。しかし、大会の中での試合は3・4試合という短期決戦で決着がついてしまうので真の実力がわかりづらい所があるのです。

ちなみにこの獣道2というイベントのコンセプトが普通の大会と違うのは決められた賞金のために闘うのではなく、賞金は無いのでただ己のプライドや意地を賭けて闘うという点です。

今回の獣道2での対戦は長期戦でどっちが本当に強いか白黒つけようという思想のもと、普通は2試合もしくは3試合先取ですが、獣道2は10試合先取です。

また大会などでは複数の選手と対戦するのでプレーヤーの力が分散してしまいますが、今回はタイマン勝負であり全ての力をその相手のためだけに集中することができるので本当のガチンコが勝負なのです。

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獣道2のPV動画

大会前の獣道に挑む2人の意気込みを語ったPVがこちらです。

次の動画はぼんちゃん、ももち、マゴなどプロゲーマー達が今回のウメハラVSときどについて語った動画です。

 

獣道2の対戦動画

いよいよウメハラVSときどの対戦です。

対戦前のインタビューでは

ときど:「相手が強いのは重々分かっているんですけど、今回は自分の方が強いです。自信があります。」(4:30 付近)

と短い言葉ながら今回の対戦への並々ならぬ決意を語っています。

対戦後の両者のコメント (59:00) 付近から

ときど:「・・・ゲームの中でくらいは勝ちたかったんですけど、また出直してきます」

ウメハラ:抜粋「去年・一昨年とときどが活躍してて、スゴイなと、環境変わって化けたなと思って、それに比べて自分は(成績が)ふるわないなと思ってて、カプコンカップ終わった後に俺もやったるぞという気持ちになって、俺も取り組みの質を一段あげて、格闘ゲームに対する気持ちが真っ直ぐ変わらずあるんだということを、大勢の人にではなく、ときどに分かってもらうチャンスだなと思って・・・」

 

ときどのコメントの意味

ときどさんのコメント、どれだけこの試合にかけてきたのかを感じれば感じるほど心動かされるものがあります。

コメントの内容も少し意味深でしたので、少し解説をしたいと思います。

ときど:「・・・ゲームの中でくらいは勝ちたかったんですけど、また出直してきます」

このコメントから推察するに、ときどさんはゲーム以外の部分でウメハラさんに負けている部分があると感じていたのです。

ときどさんは社会的に見ても非常に輝かしい経歴を持っています。日本の最高学府である東京大学を卒業し、語学も堪能、普通であればエリートコース。そしてゲームの世界でもトップクラスの実力を持っている。

対してウメハラさんは有名な大学を卒業しているわけでもなく、特に社会的にみてステータスとよべるものはありません。

普通に考えればときどさんの方が様々なものを持っているように思えます。

ゲームの中でくらいは勝ちたかった・・・少し分かりにくいですが、恐らくときどさんは、

「現実世界では(自分がどんなにゲームで実績を挙げても)周囲がウメハラさんを最強プレーヤーと皆が呼んでいる、だからゲームの中ではせめて勝利したかった。」

という意味で言ったのではないかと思うのです。

 

試合後のウメハラの感想動画

獣道2終了後にウメハラさんがふーどさんと共に試合について語った動画です。

やはりウメハラさんもかなりの決意を持ってこの対戦に臨んでいて、この対戦に負けたら、自分のこれまでの経歴が全て終了し、過去の人になってしまう恐怖を感じながらギリギリの状態で勝負に挑んでいたと語っています。

 

まとめ

獣道2素晴らしい対戦でした。

スト2、鉄拳の試合もありましたが、その試合も素晴らしい対戦相手、内容に悶絶しました。

これからときどさんには本当に頑張って欲しいと思います。そしてまたウメハラさんと闘い今度は勝利をおさめてほしいですね。

いや〜久しぶりに心から感動しました。